ジョン・カーター

カーター

その昔、日本映画で『北京原人フーアーユー?』という超大作映画があったと思う。
壮絶にかっこ悪すぎていまやデビルマンに並ぶ最低映画として邦画史に名を残しているが・・・。

ジョン・カーターという映画を観に行った。
予告編やタイトルの限りではまあつまらない映画だと思うよね。俺もきっとこれはつまらないだろうと思って断然スルーの予定だったの。『ジョン・カーター フーアーユー?』ってね。
しかし面白い駄作という評判を耳にしたので、こちらも足を出して観に行ったわけだ。

まず舞台は南北戦争時代なんだよね。
で、主人公は我らが本能に忠実な男、テイラーキッチュ兄貴=ジョン・カーター。黄金の洞窟を探すため軍役を逃れようと脱走しまくってたら、ひょんなことから火星に飛び立ってしまった!
火星には意外と酸素とか大気とかがあって普通に生きていられるらしくてラッキー!って感じの兄貴。しかも重力が地球より少ないから歩く時自然とスキップしてるんだよね、スキップバカ。ちなみにジャンプすると仮面ライダーみたいに跳躍できるぜえ。

さらに火星には文明もあった!ふつうの人類と変わらん勢力が二つあって争ってて、他には4つ腕のキモい戦闘民族が色んなとこに生息してるって感じ。で、人類っぽい火星人の片側に肩入れする神を気どった三人のハゲがいるんだよね。こいつらがたぶん他の未知なる世界からやってきたモノホンの宇宙人。なんといっても他人に成り代わるトランスフォーム能力があってしかも他人を操ったりレーザー光線やバリヤーまで出しちゃう恐ろしいハゲなんだよな。

基本的にジョン・カーターさんは戦争が嫌いだからさっさと黄金手に入れて家に帰りたいなーと思ってるわけ。だから火星人同士がやたら戦争しててもジョン・カーターさんはその場のノリでしか戦わないの。めんどくさいし。でも火星の王女(32)に私のために戦って!と説得されてしまうのでイヤイヤ戦うことになるんですね。ジョン・カーターさんはお人よしなのでけっこうヒドイ目にあってもこうやってみんなのためによくしてくれているんですよ。正直、自分なんかは火星で何が起ころうとどうでもいいし、そんなことより家で映画でも見ているほうが気が楽じゃないですか。その点ジョン・カーターさんはけっこう立派ですよ。

ジョン・カーターさんはバカだけど勘はいいので、ハゲが悪いってことによく気づくんですね。もちろんハゲもバカじゃないし頭はいいのでジョン・カーターは地球人だとすぐに気づくんですね。やっぱ怪力の地球人がいたらハゲ軍団にとっては火星支配の邪魔になるじゃないですか。そんなわけでジョン・カーターはハゲを探し、ハゲはジョン・カーターから逃げつつも殺そうと企んでるんですねー。
はー、どうでもいい・・・w


今回の宇宙人の凶悪レベル
★★★★
文明の中枢から操るという意味では鳩山由紀夫氏に並ぶ凶悪な宇宙人であることは間違いない。また不老であり、数々の魔法とも呼べる能力には人類は未だ対処する能力を持ち合わせていない。弱点といえば極少人数しか存在しない繁殖能力の低さと南北戦争時代のピストルでも簡単に死んでしまうところだろう。


★★★
(製作者はファイナルファンタジーが好きなんでしょうね。)


theme : 映画感想
genre : 映画

バトルシップ

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bs

友達とバトルシップを公開日に観に行った。で、今更感想なんて書いてられないよね。めんどくさいしね。
でもこのバトルシップの面白かったところをあえて挙げるなら宇宙人だね。宇宙人が出てくると知らずに見た人ならビックリすると思う。なんといってもオープニングクレジットが登場するまで宇宙人の気配がしないんだもんね。イケイケのテイラーキッチュ兄貴がオッパイに惹かれてチキンブリトーを強奪する(も失敗する)へぼスパイ大作戦だもんな。

で、とにかく宇宙人はやってくる。
遠い宇宙の彼方から地球の太平洋上に落ちてくる。
でもって奇跡的に日米軍事演習でそこに居合わせたテイラーキッチュと浅野忠信とリアーナが宇宙人を迎え撃つことになるから人類的にはラッキーだった(リーアム兄さんは出番ナシ)。
宇宙人はとてつもないハイパワーの機動戦艦使ってくるので厄介なんだけど、特に甲板にやつらが侵入してきた時がやばかった。全身をパワードスーツで強化した戦闘員がターミネーターばりの鉄壁の防御力と握力で襲ってくるからヤバイ。なかなか銃弾が効かないんだな。
そんな宇宙人に対して、リアーナをはじめとするスター性Sランクの3人が戦うことになるわけだから、宇宙人側はどんなイケメン使ってくるのかと期待していたらビックリ。宇宙人がすっげえブサイクなんだよね。知性のかけらも感じられないレベルのブヒブヒのオーク族ですよ。
オーク族は勉強はできるけど頭が悪い子なので、すごいメカとかマシンとか作って人類をおどろかすことはできるけれど、機械に頼りっぱなしで特製のサングラスによる索敵モードに頼らないと自力では戦うべき敵すら決められないっていう主体性のないアホなんですね。
そこに目をつけたテイラー兄貴とか浅野さんとかリアーナさんはやはり賢くて、てめえらロードオブザリングの世界に帰りやがれ!!!といわんばかりに容赦ナシのぶっ殺し作戦敢行するわけです。
とくに甲板上から奴らのサングラスにあたる艦橋を狙い撃ちする時は大成功だったね。浅野さんが行ったこともないはずのサマーキャンプの話するくだりとかもウケるしね(笑)



今回の宇宙人の凶悪レベル
★★
科学力などの努力は認められますが、敵に対する容赦のなさやアプローチの慎重さが見えないので、歴史上では弱い方に分類されるでしょう。地球を侵略に来られる際には中の宇宙人をより優れた生体電池に取り替えておくべきです。もっとがんばりましょう。



★★☆
(製作者はプレデターとかターミネーターとかトランスフォーマーとかメタルギアソリッドがだいすきなんでしょうね。)

theme : 映画感想
genre : 映画

メランコリア

ラースフォントリアー監督は本当にすごいなあと思いました。
まず冒頭数分に惑星メランコリアが地球に近づいてくる宇宙の映像と地球で右往左往する数人の人物の姿が交互に映し出されるんですよ。ものすごい不穏で不吉な重低音の音楽と共に。そして地球は完全に破壊される。もう絶対に助からないというのが最初からわかりきっているのです。怖いですねー。あ、その前にキルスティン・ダンストさんのブサイクな顔がドアップで、しかもいつも以上にブサイクに映るんですね。そこがまさに余計に不吉で恐ろしい。ところでキルスティン・ダンストさんはただのブサイクじゃないんですよ。わりとたぶん醜い!って感じじゃなくってふつうなんだけど妙に厄介を抱えているというのか薄幸というのか纏い付けている雰囲気がまさにブサイクなんですね。つまり単なる顔の良し悪しじゃない才能なんですね。メランコリアはそんなキルスティン・ダンストさんが結婚を前にして近づくもの全てをそのブサイクオーラで破壊しつくしていく姿と迫り来る破壊の塊を重ねた傑作なんです。

ものすごく嫌なことがあったとき、その対応の仕方で人は二つに分類される。
痛みを受け止めて奮起して立ち上がる人と、大好きなミートローフを食べて「灰汁の味がする・・・」と喚き泣き出す人である。
ラースフォントリアーさんは後者を描くのが本当に素晴らしく例えようがなく上手いんですね。あまりにも上手過ぎて自分に中に眠ってあるそうした何もかもを投げ出したくなる衝動が再生されるんですよ。で、気づいた。これはある種の癒しだな、と。ラース天才すげえなあと思っているうちに薄幸のキルスティン・ダンストさんはそのマイナスイオンをどんどんぶちまけていくわけです。惑星メランコリアの衝突が間近に迫ってくる中彼女はこう言うんですよ。「いないわ・・・人類の他には誰も・・・」と。よくわからないけど劇中で何らかの超能力を手に入れたらしいキルスティン・ダンストさんが『宇宙には人類のほかには誰もいない』と断言するのです。めっちゃ真剣なブサイク顔で。ああ、完全に誰もおらんわ・・・と意気消沈してしまうだけの恐ろしい説得力がある発言なんですよ。言わなくていいのに。
そして絶望に打ちひしがれた家族たちは結局地球の最後を迎えるんだけど、やっぱりなんにも救いがなくてみんな死んじゃうンですね。
はい、感想。メランコリアが数日後にぶつかるということは寿命が数十年短くなるってもうすぐ死んじゃうってことで、それはとても嫌だなあと思うんだけど人はいつか死ぬと思えばあきらめもつくかと思えば、子供も一緒に死んじゃうし見取ってくれる宇宙人もいないってのはやはり観測者のいなくなる宇宙の死と=でもあるかと思うのでやはり恐ろしい絶望なのだなあと思いました。
鬱のときに観ると元気が出ると思います。



★★★★☆

theme : 映画感想
genre : 映画

第一回 個人的ゲーム音楽ベスト10を決めるの巻

というわけでゲーム音楽としてこれは!と思った素晴らしい音楽ベスト10を発表したいと思います。
今回はなるべく映像至上主義的にゲーム作品のテーマ性と共に偉大な功績を残した作品を選びたいですね。


1位:メタルギアソリッド2サンズオブリバティ/メインテーマ


押し寄せる時代と情報の波、911テロと来るべき恐怖の世紀を予見した作品。
リアリティを追及した物語がリアリティを見放し暴走、やがて邂逅していくさまが見える。
2001年当時、他のメディアを含むあらゆるものを超えて最高のシナリオと言える作品。


2位:ファイナルファンタジーXII/The Battle for Freedom


過去最高レベルのグラフィック映像とともに、物語を映像で語ることに成功したファイナルファンタジー最高傑作。
音楽は物語を主張し過ぎず世界環境を物語るものとして機能した本作において、全てが収束する最終戦のテーマが非常に印象に残る。


3位:メタルギアソリッド3スネークイーター/Snake Eater


冷戦時代、キューバ危機の二年後、存在したかもしれない架空の歴史。
時代によって引き裂かれる人間の意志を描いた傑作。
核ミサイルの発射台ごとロケットエンジンで加速させ射程を延ばす超兵器に圧倒された。


4位:メタルギアソリッド:ピースウォーカー/Heavens Divide


伝説の傭兵ビッグボスが地獄の運命を辿り行くことになった経緯が描かれる。
やがて来る新世紀の不気味な予感と後味の二重に三重に悪いラストが印象に残る。


5位:メタルギアソリッド4ガンズオブザパトリオット/メインテーマ


いつものメインテーマが使えなかったのは残念だけど、それでもラストのリキッドオセロットとの闘いやビッグボスとの和解への収束には心底感動した。


6位:ANUBIS ZOE/Beyond The Bounds



宇宙を舞台にした物語をメインテーマが鮮やかに彩る。
予算がもっとあればさらにずっといいものになったんじゃないかと思っています。


7位:キングダムハーツ/光オーケストラ


一作目は本当に素晴らしいゲームだった。
多様な世界観を一挙に揃えても決して散漫にならず、それぞれの世界観をきっちり描いてみせた。
それ以降の作品は本当に何なの?マジでと問いただしたくなる。
うたださんが歌ってるやつは単体で聴くとポップ過ぎる気がする。


8位:ワンダープロジェクトJ2コルロの森のジョゼット/メインテーマ



9位:ファイナルファンタジーXII/メインテーマ


次期国歌候補。


10位:モータルコンバット/メインテーマ


映画は駄目だったけどこの音楽だけはとにかく印象に残ったという人が多いと思う。
偉大な音楽だと思う。


次点:メタルギアソリッド:ピースウォーカー/メインテーマ



ほとんどメタルギアじゃんというツッコミはさておき、実際映像とともに語りかけてくる意志の強さを感じるのはどうしてもメタルギアなんですよね。
だったらゲーム音楽枠じゃなく映画音楽ベストでもやれって話ですが、とにかく今回はプレイヤーへの訴求力を重視したランキングなんです、はい。




ちょっと音楽の話もしろよということで指摘されたので少し解説を入れましょう。
といってもやっぱりゲームの思い出ばっかりで肝心の音楽については結局あんまり話してなかったりしてます。
ゲーム音楽を語るのとゲーム内容を語るのは同じことなのかもしれない・・・!
あ、あとICOとワンダープロジェクト入れ替えました。
同じ女の子を運ぶゲームならJ2の方がずっとよかった印象があるし。
繰り下げがないのは仕様です。


MGS2
ハリーグレッグソンウイリアムズさんとカイルクーパーさんはそれぞれハリウッドでキングダムオブヘブンとかセブンとかに関わってるすごいひとなんだよねその人が日本人のクリエイターが作ったゲームに対しいい仕事してくれたんだ。ゲームの地位を向上させたと言う意味でも素晴らしい傑作だし、ハリウッド映画顔負けの素晴らしい音楽だよね。小説や映画にもない独自の表現と言うものを確立したゲームとしての迫力がこの音楽からも伝わると思う。

ファイナルファンタジー12
崎元仁というゲーム音楽家が作った音楽なんだけどFF12という作品はそれまでのFFと違ってキャッチーで耳に残りやすい音楽
ではなく、表現力の進化したゲームとして世界を体験することを重視しているわけだ。だから強烈なビジュアルが残るアニメ的なものじゃなく、しっとりと染み渡りその世界の中に没頭しているかのような世界観の表現に徹した音楽なんだよね。つまりファイナルファンタジーとは何かと再定義する音楽でもあるわけ。その最終戦であるこの音楽はそれまで自分が体験してきた世界の総決算なんだよね。「歴史を人間の手に取り戻し」自由の鐘を鳴らす最後の戦いなんだ。だから胸に深く残る。

MGS3
アメリカの英雄ザ・ボス。彼女に与えられた最後の任務は自ら鍛え上げ誰よりも愛した弟子に殺されることだった。
このテーマは泥水を啜り、蛇を喰い、眼を抉られなお戦うスネークの戦いと、彼(死)をただ待つボスの二つの予感を描いた傑作のオープニングテーマなんです。MGS自体が諜報作戦であるため、007のオマージュが多いんですが、独自の境地を切り開いているのがまた素晴らしいですね。カイルクーパーさん大活躍です。

MGSPW
ザ・ボス死後の世界をひとり生き抜くスネークの物語。こちらは3のOPと異なりザ・ボスの悲劇的な死を歌ったテーマです。MGS3の壮絶な戦いを体験した人にはその時の感動がリバイバルするんじゃないかな。たぶん世界は決して良くならない、そんな絶望的だけど恐れずに立ち向かう、あらゆる感情を超えた崇高な何かを感じるような気がします。

MGS4
メタルギアソリッドシリーズの終幕を飾るテーマ。MGS4は様々な人物・意味で「解放」の物語なんです。だからスネークとオセロットのラストバトルはあんなにも清々しく、美しくて切ないんですね。だからシリーズを通してやってきた人には非常に胸に迫る音楽なんだと思う。

ANUBIS
地球・火星を舞台にした壮大なスペースオペラロボットアクション。まるで呪文のように作られたメインテーマが重力に縛られなくなった世界の物語を神話的に語る。とにかく聴いてて心地いいサウンドだね。このメインテーマだけでもカッコよすぎて最高なんだけどゲーム性も縦横無尽でよくできてる。あとね、コナミは有力なコンテンツを腐らせすぎだよチクショー!と言う意味でも評価したい。悪魔城とかゴエモンとかグラディウスとかちゃんと作ってくれよと。あ、本作とは関係ないけどね(笑)

キングダムハーツ
やっぱディズニーって最高だよね。ディズニーの物語も音楽もすばらしいし、それにアレンジ加えて作られた本作の音楽もホント壮大で素晴らしい。ディズニーの物語をメタ的に見ることでディズニーをもっと身近なかたちあるものとして受け入れちゃうんだよね。
その辺がこのゲームが受けた理由のひとつかもなあ。

ワンダープロジェクトJ2
人類の過ちの歴史を語りながら現代へと繋がるメインテーマからは壮大な物語の始まりを予感させる。このゲームはスタジオジブリや宮崎駿さんとかかわりのある方が作ってらっしゃるんですよ。詳しくはよく知らんけど。だからマジでジブリらしい町並み、自然、メカ、キャラクターで溢れる素晴らしいゲームなんですよ。ニノ国とかいうジブリ作のゲームがありますがそれよかこちらで遊んでほしいですね。なんかギジン(ロボット)の女の子とコミュニケーションとって国語の本で言葉教えたり飛行機の本で戦闘機動かせたり潜水艦で漁もできる最高のゲームですよ。

ファイナルファンタジーメインテーマ
旧シリーズのメインテーマが久々に復活し、さらに壮大なテーマとして蘇ったのがまず感激しちゃう。歴史を背負いつつも新たな一歩を踏み出している感じだよね。なんか日本の国歌君が代について論争があっていてめんどくさそうだからいっそこのテーマを国歌にしたらどうかな~。壮大で力強くて清清しいからね。サッカーとかで流れたらみんな涙流して喜ぶんじゃないかな~。国威掲揚にうってつけやで!

モータルコンバット
もはやゲームじゃなく映画だけどさ。ゲームがあって映画が生まれて音楽が生き残ったってのはなかなか素晴らしいことだよ。映画では完全に出オチだったけど無駄にテンション上がりまくってアクションが地味なのも、この歴史的な音楽のマジックで隠し通せてるからね。

メタルギアソリッドピースウォーカー
ザ・ボスそっくりのAIを積み込んだ最強の兵器ピースウォーカーとの決戦で流れる音楽。この終盤の盛り上がりが全世界核戦争の瀬戸際の戦い、まさに戦争の真っ只中にいる感じがすごいんだよね。この音楽一つとっても邦画には見られないかっこよさがある。

てな感じで今回はここまで。

theme : ゲーム雑記
genre : ゲーム

戦火の馬

『戦火の馬』
よく言われることでスピルバーグには『E.T』のような善人サイドと『シンドラー』のような超暴力ダークサイドという二つの面がある。
もちろん、ある作品がそのどちらかというわけでなく、作品の中でどちらの要素がより強いかという見方しかできないが。
娯楽映画の帝王と呼ばれるスピルバーグだけど、本質的には彼は誰よりも純粋に暴力を追及し、かつそれをエンターテイメントにまで昇華することのできる暴力の帝王でもあるんだよね。
特にその症状が深刻になったのは『シンドラーのリスト』によってアカデミー賞を奪取した年以降。
プライベート・ライアン、A.I、マイノリティ・リポート、ターミナル、宇宙戦争、ミュンヘン、インディジョーンズ/クリスタルスカルの王国・・・と恐ろしく邪悪な暴力の系譜が浮かび上がる。
そして2011年にクリスタルスカル以降ついに世に出た『タンタンの冒険』は打って変わって残酷を排した純粋な冒険のドラマだった。
暴力の連鎖の果て、ここに来て初期のインディジョーンズの娯楽性に回帰し、さらに子供がおもちゃ箱をひっくり返したような興奮に溢れる作品を作ってしまった。
いったい彼の懐の深さはどれだけだろうか。

そして『戦火の馬』である。
これは意外にも堅実な作品だった。
意地を張って買った馬が主人公の元から戦場に駆り出され行方知らず、幾多の人間の飼い馬となりやがては追ってきた主人公の元に戻ろうとする、非常に王道的な感動作である。
本作では戦場を舞台にしていながらも意外に心臓に突き刺さるような恐ろしい暴力は影を潜めている。
もちろん飛び交う銃弾で人がゴミのように死んでいくし、不意に湧く毒ガスで死人は出るわだし、軍隊は農家を食い荒らすわで、実際血も涙もないような場所なのだが、それでも本作が善人サイド寄りだと言えるのは主人公の愛馬が戦場を行く先々で心優しい「馬を大事にする人々」に出会うからだ。
戦場のような過酷な環境においても馬という生き物を愛でる人間もいるんだよという、ささやかな希望がクローズアップされている。
そういう意味で残酷さの目立ちにくい堅実な作品だと言えるだろう。

ただし、この映画において馬に関わった者は大概死ぬ。
最初に馬を徴収した軍人、次に馬の扱いの上手かった少年兵の兄弟、仲の良かった黒馬、農家の孫娘、主人公の同郷の隣人、それとたぶんラスト姿を見せなかったアヒル・・・。



★★★

theme : 映画感想
genre : 映画

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Author:achi
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