昨年のゲームオブザイヤーに輝いたノーティドッグの傑作「ラストオブアス」について。
キノコ人間ゾンビによって廃墟と化し荒廃したアメリカを舞台に生き残りをかけてサバイバルを続ける人間の物語。
プレイヤーは中年男性の主人公ジョエルとして相棒の少女エリーと共に荒廃した土地を彷徨う。
オープンワールドのような進む方向が360度ではなく、リニア系として一本道のゲームだが、意外にもこれがオープンワールドよりも重厚で巨大な世界観を作っている。
ラストオブアスにはゲームの構造として階層化された目的が存在する。
勿論第一は生き残ることだが、その為には果たすべき目標や安全な目的地が明確に存在し、プレイヤーに目に見える形でそれを提示する。
プレイヤーは今、居る場所から安全を確保できるであろう目標地点(議事堂や橋など)に向かわねばならない。
しかしその為には隔離区域外を管理する米軍兵士、食料を奪う為に殺人を犯すハンター達、そして菌に脳を食われたゾンビといった、これまた明確な危険(障害物)が立ちふさがる。
廃墟の中で限られた物資を調達し、武器を工作し、残り少ない銃弾、あるいは落ちてるレンガや角材を駆使しながら障害を排除/乗り越えて目的地に到達する。
まるで、スーパーマリオブラザーズでマリオがクリボー、ノコノコを倒し、崖を越え、クッパ城に向かうかの如く、目的地と障害物が明確なゲームシステムが確立されているのだ。※
生き残る為には、仲間と落ち合う必要がある、その為に目的地に向かう、その為にまず目の前の敵を殺す(その為にまず背後に忍びよる…etc)。
こうした場面場面での目的の階層が入れ替わることで、極限環境下での生き残りを賭けたサバイバル感に拍車をかけているのだ。
評:100点ゲーム性で問うならメタルギアソリッドVは本作を越えられるのか気になる。
※ラストオブアスは一部の敵を除き、マリオと同様敵を殲滅しなくても先に進める。
※難しく不快感のあるマリオ水中ステージと直後の陸上ステージでの一転した快感と同様、ラストオブアスの暗く菌糸に覆われた地下と抜けた後の晴天の空の心地よさは近く、緩急バランスよく作られている。
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