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わたしを離さないで

わたしを離さないで /カズオ・イシグロ

昨年末にカズオ・イシグロの『私を離さないで』を読んだ。
ある施設で育てられた子供たちの物語ということでサイコホラーかと思っていたらSFホラーな感じだった。
登場人物一人の目線で進行する語りは繊細な人物描写でとても美しく描かれるのだが、最終的にそれらすべてを台無しにするようなラストが良かったと思う。
運命を乗り越えようとする物語は魅力だけど、『私を離さないで』は惨めな少しでも豊かにしたいという絶望的状況下にいる人々の願いをまったく受け入れない。
施設を出た主人公たちがかすかな希望を抱いて行動する様子がそれこそ繊細に丁寧に書かれることによって、お前たちがやってきたこれまでの行動はまったく何の意味もないことだったんだよ(笑)とやさしく語りかけてくる。
登場人物が必死に考え、純粋な思いを作りあげ、それを証明しようとする行動一つ一つが客観的にはひどく痛々しい行動だったと明らかにされるあたりがブラックジョークの極みである。

本作は社会の利便性の影に犠牲になる人々に焦点が当てられているが、大概ほとんどの読者が期待するハッピーエンドを平気で裏切ってくるラストは、悪趣味ゆえに余計に主題を際立たせているといえるんじゃないだろうか。

でもって物語の装置となる施設が作られる経緯、社会情勢、人々の価値観の描写がほぼないというのはたしかに重大な欠点だと思う。
まあ小説媒体だとあまり気にならないのかもしれないけど。

★★★☆



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comment

Secret

1 ■まずは、

まずは、パソコン購入、おめでとうございます。
ネット環境が復活して何よりです。

『わたしを離さないで』は、、、個人的にはちょっと受け入れ難かったですね。
最終目的が臓器の摘出でも一向に構わないと思うのですが、だとしたら管理する側が子供たちに教育を受けさせるのも、ギャラリーを設けるのも、必然性がないと思います。
子供たちにあえて自身がクローンだと教えることも納得できません。
悪趣味なお話が嫌いなのではなく、筋が通らないお話が嫌いなのです。

ところで、、、『殺人の追憶』は如何でした?
自分は作り手の本気度が伝わってきて、韓国映画の中では好きな方ですけれど。

2 ■無題

>せぷさん
どうも!
かといって更新頻度が劇的に上がるわけでもないですが笑

『わたしを離さないで』たしかに筋が通らないですね。
しかしこの物語設定の筋の通らなさは嫌いになれないです。
これはいわば『ゆとり教育』ってやつですよ。
国家の労働力としてしか教育するつもりがないのなら、責任をとらないのなら、後からゆとり(笑)とバカにするのであれば、なぜ最初からそういう施設としてわかりやすく作らないのか。
事情があるんでしょうけどそうした説明をされたことは一度だってありませんね。
人為的なシステムによりサイテーな末路を辿る主人公にはそういう意味では少し共感できるところがありました笑


『殺人の追憶』は申し訳ないです。
まだ見てません。
今週中には必ず。
それとそろそろ借りたDVDの感想も書いていこうと思います。
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